魚の骨が喉に刺さって大変な目に遭ったよ。
少し前の話になりますが、魚の骨が喉に刺さりました。
たかが魚の骨、されど魚の骨。
とても大変なことになったので、忘れないよう書き留めておきます。
刺さる
ある日の晩、魚を食べていたら、骨が喉に刺さりました。
口の中に含んでいるときから、骨の存在には気づいていたのですが、普段から多少の骨なら食べてしまうので、このときも「骨があるな」と思いつつも、そのままにしていました。
そうこうしているうちに、口の中で、どこかに紛れてしまったので、取り出すことはせずに、そのまま食べ続けてしまいました。
すると、飲み込んだときに、のどに何かが引っ掛かる感触がしました。
本当に「引っ掛かる感触」だったので、もう一度、ごくんとすれば、食道に入っていくかなという程度に感じました。
そのときは、魚の皮かうろこが引っ掛かったのかな?というくらいの認識でした。
が、ごくんとしても、喉を通りすぎる気配はありません。
それどころか、チクッとした痛みを感じました。
「あ、骨が刺さった」と思いました。
何度か、ごくんとしてみました。
すぐに取れると思いきや、取れる気配はなく、痛みが増すばかりです。
「どうしよう」と思いました。
自力で取るために格闘
昔ながらの「ごはんの丸飲み」がダメなことは知っていましたが、だったら、どういう方法が良いかはわかりません。
なので、調べました。
すると、「思いっきりうがいをしたら取れることもある」とか、「足のつぼを押す」とか、色々出てきました。
本当かどうかわかりませんが、やってみるしかありません。
足のつぼを押してみました。
何の変化もありませんでした。
次に、藁にもすがる思いで、うがいをしまくりました。
左奥に刺さっている感触はあったので、左奥に水が入るようにしながら、何度も勢い良くうがいをしました。
叫んだり歌ったりしながら、かなり勢い良くうがいをしました。
が、骨は取れませんでした。
一晩、寝たら取れていることがある、という説も書いてあったので、それに掛けることにしました。
一晩寝ても取れていなかったら病院に行こうと思いながら。
眠れない
不思議なもので、喉を動かさずに、じっとしていると、痛みはありません。
ですが、ごくんとしてしまうと、喉の奥に激痛が走ります。
しかも、その痛みは、繰り返すうちに、喉だけではなく、耳の下や頭まで広がってくるのです。
あと、ごくんとしても、痛みを感じにくい角度というものを見つけました。
左奥に刺さっていたのですが、首を左に軽く傾けると、ごくんとしても運が良ければ痛みを感じないのです。
そんな状況で眠りについたのですが、当然、熟睡はできません。
痛みがない奇跡的な角度を保ったまま寝ることは難しく、何度も痛みで目が覚めました。
角度によっては、ごくんとしなくても痛みがあるときもありました。
痛みがつらすぎて「もうどうにでもしてくれ」みたいな感じでした。
耳鼻科で初・鼻カメラ
翌朝、もちろん、骨は刺さったままです。
朝一番に近所の耳鼻科に行きましたが、もうすでに待ち人がたくさんいました。
骨が刺さったまま、待ち合い室で30分ほど待ちました。
ようやく順番が回ってきて、まずは口から喉の奥を診てもらいました。
よくあるのは、そこからでも見えるところに刺さっているパターンだそうでした。
が、わたしの場合は、それでは見えないようでした。
わたしは反射が強いため、おえっとして大変でした。
すると、「鼻からいこか」と言われました。
そんな流れで、あっさりと「初・鼻カメラ」を体験する羽目になりました。
鼻カメラが喉に触れた瞬間は、おえっとなりましたが、まぁまぁ耐えられました。
「あれ?ないね?」と、あちこち見てもらった結果、まぁまぁ奥の方に刺さっていることがわかりました。
図を使って、奥の手前の隙間みたいなところだと教えてもらいました。
撮った写真も見せてもらいましたが、骨がぐっさりと刺さってるのが見えました。
「ここまで奥となると、うちでは無理ですね。もっと太いカメラが必要だから。」と言われました。
「もっと太いカメラ」という言葉に、少し不安を感じましたが、取ってもらいたい気持ちの方が勝っていましたので、大きな病院に紹介状を書いてもらうことにしました。
大きい病院へ向かう
自転車で大きい病院へ向かいました。
喉に骨が刺さったまま。
「誰も、わたしの喉に骨が刺さってるとは思わんやろな」
「今、めっちゃ痛いのに、必死に自転車こいでるねんけどな」
などと思いながら、がんばって病院に向かいました。
大きな病院は、何かと待ち時間が多いです。
この苦しみから解放されるのは何時くらいになるのだろう?と思いました。
病院で長い時間をかけて受付を済ませると、耳鼻咽喉科ではなく、なんだったか忘れましたが、「頭部」みたいな科に行くように案内されました。
ちょっと大きなことになりそうな気がしてこわかったです。
最初の耳鼻科の先生が紹介状に「救急」と書いてくださっていたので、診察の科にいくと、わりとすぐに呼んでもらえました。
ちなみに、総合受付でも診療科の受付でも「喉につまった緊急の方」という表現をされました。
さすがに「魚の骨」とは言わないよう配慮されているのだなと思いました。
鼻カメラ三昧
診察室に入ると、軽く質問をされたあと、鼻カメラを通されました。
耳鼻科と同じ細いタイプの。
左奥に刺さっているのはわかっているのに、両方の鼻から通されました。
「なんで、右からも通すのだよ~痛いよ~」と思いました。
どうやら骨の場所と、どちらの鼻から入れば骨が取りやすいかを確認するためのようでした。
耳鼻科でも言われましたが、
「“あぁ~”って言って」と言われました。
普段は見えにくくて、「あぁ~」と言ったときに、見えるような位置に刺さっているのかなぁと思いました。
で、耳鼻科の先生の予想通り
「太いカメラを入れて取ります。」と言われました。
「なので、鼻の奥と喉の奥に麻酔をします。」とも言われました。
麻酔三昧
まず、麻酔液を染み込ませたゴム布みたいなものを鼻の奥の奥に入れられました。
入れて鼻の奥に塗ったら終わりかと思えば、そのまましばらく入れっぱなしだそうです。
液が鼻水みたいに垂れてくるし、喉をつたって、口の中は苦いし…で大変でした。
その状態で、喉の麻酔もします。
吸入式で、5分間思いっきり吸い続けるやつです。
最初は吸うたびにむせて咳き込んでしまいましたが、そのうち、咳き込まなくなりました。
きっと、麻酔で喉が麻痺してきたのでしょう。
こんな空気みたいな麻酔、大丈夫なんやろか?
肺に入って、呼吸がしにくくならんのやろか?
喉の動きが鈍って窒息したらどうしよう?
わたしは麻酔が効きやすいタイプかもしれんから、あまり吸わん方が良いんやろか?
などなど、不安しかなかったです。
どうやら、わたしは反射が強いから、喉の奥にもしっかり麻酔を効かせるとのことでした。
反射がたいしたことなかったら、こんな思いはしなくても良いのでしょうか。
とにかく、鼻からも口からもいろんなものが垂れてくる中、がんばりました。
5分後、麻酔が効くまで少しだけ待ち合い室で待ちましたが、心身ともに疲れて、ぐったりしていました。
太カメラ登場
待ち合い室でぐったりしていると、少ししたら、呼ばれました。
いよいよ「鼻カメラ・太バージョン」です。
わたしが座っている椅子に太鼻カメラの機械が近づいてきました。
見た目だけでこわさが倍増です。
と同時に、魚の骨で、こんな機械が出動するなんて、たいそうだなと申し訳なくもなりました。
いよいよ、太鼻カメラがわたしの横にきました。
これで、骨の苦しみから解放されるはずです。
これに限らず、わたしは病院では「目を閉じたい派」なのですが、ここの先生は、目を開けるよう何度もおっしゃいました。
その方が体の力が抜けて、痛みもマシだから、と。
だから、開けていましたけど、開けていると、鼻の奥にどんどんカメラを入れていく様子が見えるので、それがとても嫌でした。
そうこうしているうちに、目的地にたどり着いたようで、また「あぁ~」と言わされました。
結構、長い間言わされました。
その後、助手の方と息を合わせて何かしたあと、するするすると取り出してくださいました。
「取れましたよ。結構、大きい骨でしたよ。」とのこと。
見てみると、まぁまぁの大きさでした。
1.5~2㎝くらい??
「もう痛くないですか?ごくんとしてみてください。」と言われて、ごくんとしたら、痛くありませんでした。
麻酔が効いているから痛くないだけかも…と思いつつも、「良かったです。ありがとうございます。」と晴れやかにお礼を言って、出てきました。
診察室を出ると、11時を過ぎていました。
長い闘いでした。
その後、会計をして帰るのですが、その費用がなかなかのお値段でした。
「そりゃ、太鼻カメラを使って、3人がかりで取っていただいたのだから仕方ないな」とは思っています。
明細を見ると、手術扱いになっていたので。
本当に、たかが魚の骨、されど魚の骨です。